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ソバ(蕎麦)Buckwheat
Fagopyrum esculentum 2n=16
野生種:
F. esculentum subspp. ancestrale
F. pleioramosum
F. callianthum
F. capillatum
F. homotopicum (自家受精)
日本への伝播:中国
から朝鮮半島を経て
8世紀に渡来したらし
い.続日本書紀に養
老6(772年)に干ばつ
に備えて蕎麦を奨励
した記録がある.日
本の蕎麦自給率は2
割程度と低く,中国
やオーストラリアから
輸入.
もう1つのソバ:ダッタンソバ.
苦蕎麦,Tartary buck wheat
寒さに強く,収量も多い。中国南部からヒ
マラヤ山岳地帯で栽培され,餅,団子,
酒などに用いられる.
自殖するために,中国での育種が進ん
だ.また,中国ではフラボノイド化合物を
抽出してカプセルに詰めて市販されてい
る.中国/欧州では飼料としての利用も多
い. フラボノイドのルチン100倍!:フラボ
ノイドを多く含み,ビタミン様物質としてビ
タミンPとも呼ばれるルチンが多い.
ソバの自家不和合性:短花柱花,長花柱花は互いに花粉をや
りとりするが自らの花粉で受粉することができない.そのため,
集団育種法という方法がとられる.自殖化する研究も進めら
れている.そのため,自家不和合性の遺伝子に関する研究が
すすめられ,S座の遺伝子において,Ssが短花柱型,胞子体型
であるためすべての花粉(S,s)は“S”型と認識される.劣性ホモ
のss型は長花柱型となる.Shを有する場合に自殖率が高くなる.
Pennline 10 はそれ以外の原因で自殖稔性が高い.この系統
は雄蘂も雌蕊も短いことが特徴である.松井:九州沖縄農業
研究センタ-
夏ソバと秋ソバ:春に播種して夏ソ
バが収穫され,夏に播種して秋に収
穫するものが秋ソバ.もともとは秋
ソバ.
在来種にはそれぞれに特徴があり,
在来種に比較して,改良品種はそば粉の歩留まりがよ
い.
夏ソバは収量が低く,種子からのそ
ば粉の歩留まりも悪い.夏のソバは
オーストラリアのタスマニアにて収
穫したものを輸入していることが多
い.
日本への伝播の過程において,縄文
時代には東日本にはきていたことが
考古分析(花粉)から報告されてい
る.秋型は九州や四国の低緯度で短
日条件にて開花するが高緯度では開
花遅延.一方,高緯度地帯では夏型
のみとなり長日条件でも開花する.
これらは秋型から分化したことがわ
かってきた.このようなタイプが伝
播し,そしてこれらの混在する栽培
体系をつくることになった.
日本の育種の歴史
在来種であったものが,11919年から山
形県にて選抜事業が始まり,最上早生
が選抜された.青森県では階上村在来
から,階上早生が選抜されて,1933年に
奨励品種となっている!!
4倍体品種の利用:
美座崎大学宮崎大学では成1982年に4
倍体品種,宮崎大粒が育成.
突然変異育種:ウクライナでの脱粒性改善
緑色花は維管束が4~6本で白色の2~3本に比べて頑健
な花柄を持っている.それが脱粒性に関係していること
がわかった.その後,突然変異育種により,グリーンフ
ラワー90,93が育成.ガンマ線照射により,マリコフス
カが緑色花品種として育成.緑色花で大粒のロクソ
ラーナも生まれた.
4倍体品種も育成されている.栽培期間の変動も起こり
うるため,それに備えるための短日要求性の低い品種
の育成も目標となっている.
突然変異育種とは?
上記,物理変異源により変異を誘発して,固定すること
により優良品種を開発すること,他に化学変異原など
もある.
最近の育種:北陸農研センターでは,
ソバ北陸1,2,3号,ダッタンソ
バ北陸4,5号を育成した.その後,
とよむすめは葛生在来からの優良個
体選抜.1000個体から24個体を選抜
し,増殖,選抜を繰り返した.最終
的にルチン含有量の高い系統を選抜
し7系統にした.生産性から北陸2号
の系統名を付与,とよむすめを品種
名とした.北陸3号はなつみとなった.