藤田氏のプレゼンテーション(Powerpoint)

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日本の花き産業振興策について
平成25年 11月 26日
農林水産省 生産局 園芸作物課
花き産業・施設園芸振興室
藤田
聡
内
容
花き産業を取り巻く現状
生産、流通、消費、輸入等
花き産業の今後の振興策
法律、予算、輸出戦略等
「花き」の定義
 「花き」とは、観賞の用に供される植物をいう。
具体的には、切り花、鉢もの、花木類、球根類、
花壇用苗もの、芝類、地被植物類をいう。
【山野草】
野外に自生する草本、低木及
び小低木の一部等
【林木】
スギ、ヒノキ、アカマツ、ク
ロマツ、カラマツ等
「山野草」や「林木」
について明確な規定は
ないが、観賞用に仕立
てをして栽培されてい
るものは花きとして取
り扱うことが妥当
花き
【切り花】
キク、バラ、
カーネーション、
ヤシの葉等切り葉、
サクラ等切り枝
【花木類】
ツツジ等庭木に使われる
木本性植物で緑化木を含
む(鉢ものとして生産さ
れているものを除く)
【鉢もの】
シクラメン、ラ
ン、観葉植物、
盆栽等
【球根類】
チューリップ、ユリ
等(食用に供される
もの除く)
【花壇用苗もの】
パンジー、
ペチュニア等
【芝類】
造園用等養成
されているもの
【地被植物類】
ササ、蔓類等地面
や壁面の被覆に供
するもの
【日本標準産業分類】(花き作農業)
「花きとは、切り花、切り葉、切り枝、球根、鉢物、花き苗、芝、
植木など美観の創出ないし維持又は緑化などに供する目的で栽培
されている植物をいう。」(花き作農業には盆栽業含む)
花き産業を取り巻く現状
花きの生産①
 花きの産出額は3,700億円弱で、農業産出額の4%。
 産出額の内訳は、切り花類が6割、次いで鉢もの類が
3割、花壇用苗もの類が1割。
 主要産地は、愛知県、福岡県、 千葉県。
 品目別産出額ではキク、洋ラン、ユリ、バラ、カーネー
ションと続く。
単位:億円
都道府県別
産出額(H23)
資料:生産農業所得統計
順位
県 名
産出額
1
愛知県
526
2
福岡県
182
3
千葉県
176
4
静岡県
176
5
埼玉県
164
花きの生産②
 花きの産出額は、切り花の輸入増加、国内需要の減
少等により、平成7年をピークに減少傾向。
 他方、45歳未満の若い農業者の割合が多く、若い世
代の活躍が目立つ。
花きの産出額、作付面積の推移
(千ha)
70
60
作付面積 62百億
産出額
新規就農者の品目別割合
(百億円)
70
円
60
48千ha
50
50
37百億
円 40
40
30千ha
30
30
20
20
10
10
0
0
S60
H2
H7
H12 H17 H22 H23
資料:生産農業所得統計
その他
2%
畜産
花き 8%
7%
果樹
15%
稲作
13%
畑作
2%
野菜
53%
資料:全国新規就農相談センター「新
規就農者(新規参入者)の就農実態に
関する調査結果(平成22年度)」
花きの生産③
 施設園芸は、経営コストに占める燃料費の割合が高
く、近年の燃油価格高騰が経営を圧迫。
 燃油に頼らない生産構造が求められる。
経営コストに占める燃料費の割合
ヒートポンプ
木質バイオマス
利用加温施設
花きの育種・品種開発
 種苗法に基づく品種登録出願のうち、草花類は6割。
そのうち9割は、個人や種苗会社による。
 我が国で商業的に約4万種の花きが生産・販売。毎年
2~3千種が新たに登場。その品種数は世界一。
 他方、花きは流行に左右されやすく、品種登録が更新
されず取り消される品種も多い。
出願品種に占める草花類の割合等
うち個人・種
うち
全品目①
苗会社からの ②/① ③/②
草花類②
出願③
28,278件 17,528件
15,786件
62% 90%
資料:農林水産省品種登録統計資料
花きの輸入
 昭和60年の関税撤廃以降、キク、バラ、カーネーショ
ン等切り花の輸入が増加、国内産地の経営を圧迫。
 主な輸入の相手国はコロンビア、マレーシア、中
国等。
平成14年
平成24年
輸入16 %
カーネー
ション
国産
輸入
国産
キ
ク
輸入
4
84 %
52%
%
輸入
国産
48 %
96
%
資料:「花き生産出荷統計」「植物検疫統計」
主な輸入国
コロンビア、
中国
17%
国産 83 %
主な輸入国
マレーシア、
中国
花きの流通
 国産花きの流通は、多様な品目・品種に起因し、卸売
市場経由率が高い。
 国産シェア奪還には、コールドチェーンの整備等、流
通体制の高度化等により、鮮度や日持ち性等国産花
きの強みを活かすことが大切。
農水産物の卸売市場経由率(%)
青 果
野 菜
果 実
水産物
花 き
H2
81.6
84.7
76.1
72.1
82.3
H7
74.0
80.5
63.4
67.6
81.9
H12
70.4
78.4
57.6
66.2
79.1
H17
64.5
75.2
48.3
61.3
82.8
H21
64.6
75.5
47.1
58.0
85.1
資料:農林水産省食料産業局「卸売市場データ集」
H22
62.4
73.0
45.0
56.0
83.4
花きの消費
 ライフスタイルの変化等により、花きの消費は長
期的に減少傾向。特に若年層の花き離れが深刻。
 小売店はスーパーやホームセンターにおける販売
が増加し、専門小売業の販売額は減少。
切り花年間購入額の推移
円
14,000
12,000
長期的に
減少傾向
10,000
8,000
6,000
資料 :総務省統計局「家計調査年報」
二人以上の全世帯
世帯主年齢別年間購入額
(平成24年度)
円
15,000
12,500
10,000
7,500
5,000
2,500
0
若年層の
購入金額が低い
花きの国際的評価
 昨年のフェンロー国際園芸博覧会において、日本
政府出展ブースは屋内展示部門の金賞を受賞。
 品種コンテストでは、最高得点の獲得を含め、多
くの入賞を果たすなど、我が国の多様で高品質な
花きは、国際的に高い評価を得た。
日本ブース(250㎡)には、
会期中に約60万人が訪問
屋内展示部門「金賞」のトロフィー
花きの輸出
国際的に高い評価を得ている我が国の多様で高品
質な花きの輸出が増加傾向。
 特に、経済成長著しいアジア新興国向けが急増
し、平成24年の輸出額は83億円。

花き輸出額の推移
(億円)
90.0
67.8
80.0
63.0
70.0
60.0
82.9
53.3
45.8
(億円)
50.0
輸出上位
5カ国
40.0
30.0
ベトナム
20.0
2010
年
2011
年
2012
年
35.8
28.1
43.2
10.0
中国
6.3
9.1
18.1
0.0
香港
11.8
22.1
11.8
イタリア
3.7
2.8
2.9
台湾
0.7
1.0
2.2
2008年
2009年
2010年
植木等
2011年
2012年
切り花
花き産業の今後の振興策
~国産シェアの奪還と輸出拡大~
花きの輸出戦略
 「所得倍増」実現に向けた第一歩として、輸出拡大
による新たな販路の開拓が必要。
 本年8月に「花きの輸出戦略」を策定、平成32年に植
木・盆栽・鉢物・切り花で輸出150億円を目指す。
(億円)
150
160
輸出拡大向けパン
フレットを作成し
て国産花きを発信
140
120
100
80
83
60
40
20
0
平成24年(2012年) 平成32年(2020年)
品目
輸出重点国
植木・盆栽
EU、中国
鉢物
シンガポール、中国、香港
切り花
米国、香港、シンガポール、
カナダ、EU、ロシア
平成32年(2020年)の輸出目標
額150億円達成のためには、
輸出先進国の事例
輸出重点国の市場・消費実態
の把握が大切!
輸出先進国ケニアの事例①
 ケニアはオランダ、コロンビアに次ぐ世界第3位の切り
花輸出国。バラを中心に、EU等に輸出。我が国のバラ
の輸入に占めるケニア産のシェアは約4割。
 ケニア政府は切り花産業を外貨獲得産業と位置づけ、
生産者団体と連携して海外プロモーション等を実施。
 年間を通して温暖な気候に恵まれ、一年を通じて冷暖
房なしに切り花栽培が可能。
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
平均最高気温(℃)
ナイロビ市の月別平均気温
平均最低気温(℃)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112
17
輸出先進国ケニアの事例②
 ナイロビ近郊のナイバシャ湖周辺が切り花の一大生産
地。
 オランダ、イギリス等の資本によるハウス面積200~
300haの生産者が集積し、大規模な施設園芸を展開。
 安価な人件費・資材費を背景に、切り花産業は急成長
を遂げる。
ナイバシャ湖周辺のPand Flowersは200ha、従業員800名、
台風がないため簡易な資材費(10aあたり100万円程度)
輸出先進国ケニアの事例③
 イギリス、オランダ等の資本により、極めて戦略的に
輸出に取り組んでいる(95%は輸出向け)。
産地で完結した取組
社会環境に配慮した取組
ナイバシャ湖
の水問題対策
巨大な雨水貯水
池で湖水利用を
抑制
女性がほとんど
生産者自ら海外マーケティング、
顧客ニーズに合わせた加工(花
色・規格)、パッキング
自社で益虫を培養
農薬使用を抑制
多くの生産
者がMPS
に加え独自
認証を取得
フェアトレードによる価格上乗せ分で
職業訓練やクリニック経営等を実施
輸出先進国ケニアの事例④
 国を挙げてのプロモーション、産地で完結した取組
等、我が国がケニアから学ぶべき点も多い。
オールケニアでプロモーション
コールドチェーンの整備
産地の保冷庫
ケニア共通ブランド
生産者の保冷トラック
ケニア政府も支援
プロモーション
マーケティング等
ナイロビ空港隣接の検疫所の保冷庫
駐日ケニア大使館
切り花をHPで宣伝
輸出重点国ロシアの事例①
 ロシアの首都モスクワは、人口1千4百万人とヨーロッ
パ最大の都市。堅調な経済成長を続ける。
 花を消費する文化がしっかりと根付いており、我が国
にとって魅力的な潜在市場。
 モスクワの切り花市場規模は2千億円。市場では7割
をバラが占める。ほぼ輸入に依存(ロシアの輸入額は
世界第6位)。
輸出重点国ロシアの事例②
 バレンタインや国際婦人デー(3月)、新学年のス
タート(9月)を中心に切り花消費が多い。
 街中の至る所に花屋が存在。
百貨店の高級花店
スーパーの花店
花市場
路上の花売り
24時間営業スタンド
輸出重点国ロシアの事例③
 本年9月に、日露官民花き関係者が意見交換。日本
産切り花のロシア向け輸出拡大についてロシア連邦
農業省が要望。
 輸出拡大には、Expo等によるプロモーションが必要。
ロシア連邦農業省
Flowers Expo in Moscow
ロシア向け輸出拡大に向けて
モスクワへの直送による鮮度改善
(現在はオランダ経由)
輸出環境整備
(検疫、コールドチェーン等)
日本産デザインの普及
(フロリストの交流、デザインパンフ)
プロモーション
(フラワーズ・エキスポへの出展等)
花文化と併せ、日本産花きを世界へ輸出!
デルフィニウム
花き文化の成熟したEUや新たな
需要が見込まれるロシアへ!
北海道
今後も海外市場調査を通
じ、
新たな販路を開拓!
チューリップ
ラナンキュラス
岩手県
リンドウ
千葉県
植木
新潟県
盆栽
長野県
愛知県
香川県
宮崎県
高知県
必要な取組
洋ラン
スイートピー
グロリオサ
経済成長著しいアジア新興国へ!
(香港・シンガポール・中国)
太平洋を横断、北米大陸
へ!(米国・カナダ)
○海外の市場実態等情報収集
○花文化と併せて日本産花きを情報
発信
○長距離輸送に耐えうる品質管理技
術の向上
○植物検疫への対応
○コールドチェーンの整備
○海外からのバイヤーの招聘
花きの需要拡大
 花きの需要拡大には無・低購買層への働きかけが
有効。物日や花育、花文化等で消費行動を刺激。
商業
施設
購買のきっかけ
づくり
新しい物日の定着
日常的に花のある
日常的に花のある
生活の定着
生活の定着
花に触れる
義務教育の間に
花育を体験
○地域における花育活
動を推進
地域
コミュニ
ティー
身の周りで花きが増加
↓
花きの購買回数の増加
癒やし効果等を活用した
花きの利用
オフィス
公共空間
↓
出版
業界
教育
機関
花きの効用の普及
各県フラワーフェスティバ
ルの開催
他分野との連携
○町おこし
観光
業界
花文化の普及・継承
いけばな
伝統行事との結びつき
○インテリア等との組合せ
インテリア
業界
花きは
攻めの農政で輸出振興の大きな柱
農地や担い手の確保
知財戦略としての農産品
である等、重要な品目。
→関係者の永年の悲願であった
「花き振興法(仮称)」制定に向けた
動きが加速化。
花き振興法(仮称)
自民党は、次期通常国会での成立を目指し、検討
作業チームにより「花き振興法(仮称)」を議論。
「花き振興法(仮称)」では、花き産業や花き文化
の振興を図ることを目的としている。
花き振興法案(仮称)検討作業チーム
やフラワー議連等における議論
日本農業新聞
平成25年11月9日
●花き産業(生産・流通・販売)
の振興
●花きの輸出振興
●文化も含めた花きの消費拡大
国産花きイノベーション推進事業①
花き振興法(仮称)の理念を具体化すべく、平成
26年度に、花き単独予算「国産花きイノベーション
推進事業」を5億円で予算要求中。
1.花き関係者の連携への支援
⇒
・国産シェアの奪還と輸出拡大を図るため、生産者、研究機関、
流通関係者、販売業者等、花き業界関係者が一堂に会した協
議会の設置・運営 (支援の効果(例))
○産地が連携し年間を通した安定供給体制を確立
4月 5月 6月 7月 8月 9月
A産地
B産地
C産地
D産地
10 11 12
1月 2月 3月
月 月 月
消費ニーズに
沿った商品供給を
行うことにより、
輸入商品に対抗し、
国内シェアを奪還
するとともに安定
的な輸出を実現
国産花きイノベーション推進事業②
2.国産花きの強みを活かす生産・供給体制の強化
⇒
・国産花きの強みを活かす生産供給体制の強化に向けた、
日持ち性を向上させる管理技術の導入や物流の効率化等を
推進
(支援の効果(例))
○産地の出荷前処理、流通段階の温度管理の徹底等による
日持ち保証販売の拡大
産
地
・採花後の前処理(抗菌
剤等で水揚げ)の実施・
温度管理(低温保管)等
の徹底
市
場
・荷捌き場(保温カーテン
の利用)、輸送トラック
の温度管理の徹底
小売店
・市場から店舗まで
搬送時の温度上昇
の防止(保冷車の
利用)、低温ショー
ケースの利用等
日持ち保証
販売、産地
表示により
国産の強み
を強調
国産花きイノベーション推進事業③
3.国産花きの需要拡大
・国産花きの需要拡大に向けた、花育の普及、プロモーショ
ン活動、オフィスや介護施設における花と緑の利用推進
⇒
(支援の効果(例))
○オフィスや福祉施設での花と緑の利用拡大
○学校・介護施設等での花育活動の浸透
○生け花等我が国花文化の普及・継承
○オフィスや福祉施設での花と緑の利用拡大
日常に花のある生
活の定着
次世代施設園芸導入加速化支援事業
エネルギー供給センター
・木質バイオマスエネルギー等、地域のエネルギーを活
用し、抜本的な化石燃料からの脱却を推進。
・エネルギー供給センターを設置し、団地にエネルギー
を供給することで、個別のハウスに燃料を輸送する経費
を削減することも可能。
○木質バイオマス等地域の未利用エ
ネルギーの活用。
ペレット
林地残材
収集・運搬
ペレットボイラー
種苗供給センター
○植物工場でクリーンな苗を生産。
種
苗
トマト苗
苗テラス
・環境が制御された苗供給センターを活用。多品目で構
成される団地に年間を通じて計画的に種苗を供給。
※高収量を実現するトマトの新たな栽培技術である一段密植養液栽培では、年間
を通して苗が必要となるため、完全人工光型植物工場である「苗テラス」を活
用し、クリーンで高品質な苗を計画的に生産。
施設園芸団地における生産
・トマトやピーマン、花き等の多品目、大規模な施設園芸団地を集結。
・環境制御システムや新技術導入を行い、生産性向上。
・周年雇用を実現し、地域の農地整備等、集落機能の維持にも活用。
トマト
レタス
出荷センター
・団地に出荷センターを併設。
・調製・出荷コスト削減や生産情報管理よる有利販売を実現。
・企業と直結した出荷を実現。
出
荷
ハウス団地
Road to Tokyo Olympi
c by Flower
・日本人は、元来、花を飾り、楽しむ花文化を持っている
・日本の花は、多様な品種と、世界でも最高水準の品質
このことを定着させるため、開催までの7年間、以下のような取組を推進し、
オリンピック開催年には日本全国津々浦々、花と緑があふれる風景を実現
①おもてなし窓口の花
国土交通省と連携
②教育現場の花
文部科学省と連携
③フラワー
オリンピック
空港:成田、羽田、中部など到着口、発着カウン
ター、待合室に花を展示
駅
:東京、名古屋、大阪はもちろん、浅草、京
都等観光地の改札口、ホーム、待合室に花を展示
義務教育における花の利用:全国の小・中学校等
において校門や教室内に年間通じて季節の花を展
示し、小さい時から花に触れる空気
(地元の花屋との提携)
世界でも最高水準の品質を国内外に周知し、生産
者等の更なる技術向上、意識高揚を図るため、全
国レベルでの国産花きの品評会を実施
(地方自治体との連携)
終わりに
来年は、新たな法律と予算の成立が見
込まれる、言わば「花き元年」。
東京オリンピックに向けた今後7年間
は、需要拡大の大きなチャンス。
関係者が一丸となった取組による花き
産業の飛躍が見込まれる。
ご清聴ありがとうございました