資料組織概説 第12回 分類法(2)

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資料組織概説 第11回
日本十進分類法
2010年12月7日(火)
第4時限
R101教室
日本十進分類法とは(1)
• 現在、日本で最もよく使われている分類表
• デューイ十進分類法(DDC)を日本の実情
に合うように再構成
• NDC(エヌ・ディー・シー)と呼ばれることが
多い
– Nippon Decimal Classification の略称
• JAPAN/MARC(国立国会図書館が作成す
る目録データ)でもNDC分類を付与
日本十進分類法とは(2)
• 一般分類表である
• 列挙型分類法である
• 純粋記号法である
– アラビア数字(とピリオド)のみを使用
• 十進記号法である
– あらゆる知識を9区分して1~9の数字を記号と
して与え、どれにも含まれないものを総記として
0(ゼロ)を与える
– それぞれの区分の中を同様に10区分(9区分
+ゼロ)、さらにその中を階層的に区分していく
歴史的経緯
• 1928年、もり・きよし(森清)が雑誌に「和
洋図書共用十進分類法案」を発表
• 1929年、『日本十進分類法』と題して間宮
書店から刊行、1945年までに5版
• 1948年、日本図書館協会が維持管理を
引き継ぐ(個人著作から共有の財産に)
• 1950年、新訂6版、1961年新訂7版、19
78年新訂8版
• 1995年新訂9版(現在に至る)
新訂9版の構成
• 本表編と一般補助表・相関索引編の2冊
セット
• 本表編の構成
– 解説(必読)
– 第1次区分表(類目表)
– 第2次区分表(綱目表)
– 第3次区分表(要目表)
– 細目表
要約表
NDCの第1次区分(類)
• 順序はカッターの展開分類法(EC)にならう
• 類目表を構成
• 0 総記 1 哲学 2 歴史 3 社会科学 4 自然科学
5 技術 6 産業 7 芸術 8 言語 9 文学
• cf. (ECの一次区分) A 総記 B-D 哲学・宗教
E-G 歴史諸科学 H-K 社会科学 L-Q 自然科学
R-U 技術 V-W 芸術 X 言語 Y 文学 Z 図書学
• cf. (DDCの一次区分) 0 総記 1 哲学 2 宗教
3 社会科学 4 言語 5 純粋科学 6 技術
7 芸術 8 文学 9 地理・歴史
NDCの第2次区分(綱)
• 各第1次区分に再び9個の区分肢を用意
• 綱目表を構成
• 00 総記
01 図書館、図書館学 02 図書、書誌学
03 百科事典 04 一般論文(講演)集
05 逐次刊行物 06 団体 07 ジャーナリズム、新聞
08 叢書、全集、選集 09 貴重書、郷土資料他
• 40 自然科学
41 数学 42 物理学 43 化学 44 天文学
45 地球科学 46 生物科学 47 植物学
48 動物学 49 医学、薬学
NDCの第3次区分(目)
• 各第2次区分にさらに9個の区分肢を用意
• 要目表を構成
• 010 図書館、図書館学 011 図書館政策、行財政
012 図書館建築、設備 013 図書館管理
014 資料の収集、整理 015 図書館奉仕、活動
016 各種の図書館
017 学校図書館
018 専門図書館
019 読書、読書法
• 400 自然科学 401 科学理論、科学哲学
402 科学史、事情 403 参考図書 404 論文集
405 逐次刊行物 406 団体 407 研究法、指導法
408 叢書、全集、選集 409 科学技術政策、行政
NDCの細目表
• 第1次~第3次区分表(要約表)は大まかな分類を
見るのに便利
• 細目表はすべての分類項目を網羅
• 細目表により分類記号が確定
• 注記
その分類項目が含む範囲の説明や各種補足
• 参照
→ (「をみよ」参照。通常使う分類記号への指示)
→: (「をもみよ」参照。関連する分類記号を示す)
階層構造の展開
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例えば「源氏物語に関する書誌」であれば、
9
文学
第1次区分(類)
91
日本
第2次区分(綱)
913
小説、物語
第3次区分(目)
913.3
平安時代
第4次区分(分目)
913.36
源氏物語
第5次区分(厘目)
913.361 書誌、索引
第6時区分(毛目)
*どこまで展開するかは図書館の方針による
NDCの助記性
• 助記性(じょきせい)
– 記憶を助ける性質の意。一般の国語辞典には
載っていない
• たとえばNDCでは日本を表す記号として1を
使う(210 日本史、910 日本文学など)
• しかし、1が常に日本を意味するわけではな
い。理論を表したり(301,401,501など)、詩
を表す(921,931,941など)場合もある
• 便宜的なものと理解して利用すべき
補助表
• ある主題を細目表によって表現しつくせないときに
付加する記号を定めた補助的分類表
• そこから下の展開は共通なので、細目表にいちい
ち記さず、補助表としてまとめることにより繁雑さを
回避
• 分析合成型的手法
• 従来、助記表とも呼ばれたが、不適当なので9版
から使用しなくなった
• 一般補助表と固有補助表がある
• 一般補助表は別冊で、固有補助表は細目表の該
当箇所で表示
一般補助表
• 全分野あるいはいくつかの分野で共通に適
用可能なもので以下の6種
– 形式区分
– 地理区分
– 海洋区分
– 言語区分
– 言語共通区分
– 文学共通区分
固有補助表
• 固有の分野でのみ適用可能な補助表で以
下の6種
– 神道各教派(178)
– 仏教各宗派(188)
– キリスト教各教派(198)
– 各国の地理、地誌、紀行(291/297)
– 技術・工学(510/589) 経済的、経営的観点
– 写真を除く各美術の図集
補助表の使用例(1)
• 形式区分
– 01 理論 012 学史、学説史 016 方法論
– 02 歴史的・地域的論述 *地理区分
– 03 参考図書 031 書誌 032 年表 033 辞典
– 04 論文集、評論集、講演集、会議録
– 05 逐次刊行物 など
• たとえばタンカー(556.66)に関する
– 書誌=556.66031
– 論文集=556.6604
補助表の使用例(2)
• 地理区分
-1 日本 -13 関東地方 -131 茨城県
-2 アジア -3 ヨーロッパ -35 フランス
-4 アフリカ -5 北アメリカ -6 南アメリカ
-7 オセアニア、両極地方
• 686.2 鉄道史、事情 *地理区分
– 日本鉄道史=686.21
– 茨城の鉄道=686.2131
– フランス鉄道史=686.235
相関索引
relative index
• 主題を言葉からたどり、分類記号を探すた
めの索引
• 同じ言葉でも取り扱いの観点により異なっ
た分類になる→付加した限定語により相対
的関係を明示(ゆえに相関索引と言う)
• (例) あい(作物栽培) 617.8
(植物学)
479.64
(染料)
577.99
分類規程
• 誰が分類しても結果が常に統一されたもの
となるよう、複雑な主題の取り扱いを定めた
ルール
• 一般分類規程
– 全体的なルール
– 日本十進分類法では本表冒頭の「解説」で説明
• 特殊分類規程
– 特定の主題のみに適用されるルール
日本十進分類法の一般分類規程(1)
• 主題と形式
– まず主題で分類し、形式で細分
• 例) 教育名著叢書→教育叢書(370.8)
一般叢書(080)や社会科学叢書(308)としない
• 複数主題
– 中心となる主題のもとに分類
– 二つか三つの主題を扱っていて中心主題がない
ものは最初の主題に分類
– 四つ以上の主題を扱うものは上位の分類へ
日本十進分類法の一般分類規程(2)
• 主題と主題の関連
– 影響関係は影響を受けた側に分類
• 例) 浮世絵のフランス絵画への影響→フランス絵画
(723.35)
• ただし個人が多数に影響を与えた場合は個人の側へ
– 因果関係は原因ではなく結果に分類
• 例) 地震と鉄道→鉄道建設 (516)
など
日本十進分類法の一般分類規程(3)
• 理論と応用
– 理論と応用を扱ったものは応用に分類
– ただし適当な分類項目がない場合は理論に分
類
• 例) 応用微生物学→微生物学(465)
• 主題と材料
– 主題説明の材料が何であれ、すべて主題で分
類
• 例) ショウジョウバエの遺伝と実験→実験遺伝学
(467.2)
日本十進分類法の一般分類規程(4)
• 主題と読者対象
– 特定の読者層を対象に書かれたものは読者層
を示す分類項目
• 例)警察官会話手帳→警察官 (317.7)
– ただし一般読者にも活用できるものは主題で分
類
• 例) ナースのためのイラスト生理学→生理学
(491.3)
日本十進分類法の一般分類規程(5)
• 原著作とその関連著作
– 原則として原著の分類される項目に分類(例
外あり)
• 新主題
– 最も密接な関係があると思われる主題に分類
– または新しい分類項目を設けて分類
第11回のまとめ
• 日本十進分類法(NDC)は日本を代表する
一般分類表で、多くの図書館で採用
• もり・きよしが戦前に原案を発表、戦後、日本
図書館協会に維持・管理が移り、現在は新訂
9版
• 本表は3次区分までの要約表と全項目を載
せた細目表から成る
• 別冊として一般補助表と相関索引
• 分類結果を統一するための分類規程